イライラ、憂うつ、倦怠感、疲労感・・・これって、もしかしたら、うつ病なのかな?

更年期障害によって起こる精神症状は、うつ病とよく似ています。

 

女性ホルモン(エストロゲン)の減少が、脳の中にもダメージを与え、うつ状態を引き起こしてしまうのです。

 

エストロゲンは脳の中にある神経伝達物質「セロトニン」の分泌を左右しています。

 

更年期に入ってエストロゲンが減少すると、セロトニンの量も低下し、うつ病によく似た症状(うつ状態)が現れやすくなります。

 

イライラしやすい、憂うつな気持ちになりやすい、やる気が出ない、よく眠れない、集中力が持たないといった症状です。
薬

 

 

マタニティブルーやPMSも同じ

更年期だけではありません。出産後のうつ状態(マタニティブルー)、そして月経前症候群(PMS:premenstrual syndrome)も同じ理由で起こります。

 

エストロゲンの量が相対的に低くなると神経伝達物質の働きが鈍り、イライラしたり、憂うつ感、だるさ、疲労感などを感じやすくなります。






最終的にうつ病になる場合も

更年期の諸症状が更年期障害と診断されず、適切な治療が受けられないままでいると、結果的にうつ病を発症してしまうことがあります。

 

めまい、耳鳴り、不眠、高血圧などに悩み、内科や耳鼻科を受診してもすぐに更年期障害とは分からないもの。

 

専門の医療機関で検査(めまいなら眼振検査、耳なりなら聴力検査、不眠ならポリグラフ検査、高血圧なら血圧検査)を重ねても、一向に原因が見つからない。

 

耳鼻科や内科、皮膚科、心療内科を転々としながら、その場しのぎの対処療法的な投薬を続ける。

 

それでもなかなか体調が改善しない。ストレスを抱えた状態が続き、結果的にうつ病になってしまうのです。

 

うつ病になると、抑うつの症状が大きくなり、過呼吸などのパニック発作を起こすことも。

また、社会不安や自己否定感、自責感が強まって自殺願望につながることもあり、大変危険です。
うつ病の男性

 

早めに治療を開始しましょう

更年期に起こるうつ状態には、エストロゲンを直接的に補充する「ホルモン補充療法(HRT)」が最も効果的とされています。

 

婦人科に相談をして早めに治療を始めましょう。HRTと抗うつ剤を同時に処方する方法も進められています。

 

 

実際に、女性心身医学会では2006年にHRTとSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬:うつ病の治療で日本では幅広く使われている)の併用によって更年期のうつ状態に効果があったという研究結果を発表しています。

 

更年期障害の治療分野では、日々新しい薬や治療法が開発され提供されています。広く情報を求め、自分に合った治療法を探していくことが大切になります。